2010年08月25日

コミケ後ペースダウンに関する考察と改善案

きゃなさんへ 



 コメント欄にての叱咤激励、身の引き締まる思いで、同時にとても嬉しく拝読いたしました。
 
 身の引き締まる思いは 無論、いくつになってもきゃなさんの(そして全くもって正当な)叱咤激励を頂戴する自分のふがいなさに対し。
 嬉しさは、いくつになってもきゃなさんの叱咤激励を頂戴できる幸運によってのものです。

 丁度、狩野さんからも、

「その調子だとキリがなくなる」

とのご忠言を頂戴しておりましたので、
この機に、現在の「くろえ姉ルートパッチ」の進捗と、
(恐らくは遅滞しているであろう)その原因の観察。
ならびに、着手可能な改善案について、お手紙形式でまとめてみようと思います。

(小さな頃、さんざ書かされた反省文の書式が、
もっとも冷静かつ簡便に書け、自分を客観視できるようにも思うからです) 


 まず、現状のくろえ姉ルートパッチ進捗について。

 大掴みにまとめると、

 『加筆リライトに着手してしまい、膨らんでいる』


 数字の面からアプローチすれば、

 『箱の数で4、(実質シーン数で5、ないし6)のシナリオの内、
  演出まで満了しているものが0。
  リライトを満了しているものが1。
  加筆リライト中のものが1(進捗は、当該箱の50%程度)。』 



 必要準備状況に関しては、

 『プロットは完全。
  資料調査は、加筆リライトに伴う補強程度には必要。
  必要素材は、要調達のものを少し残している。
  コンディションは最上。
  モチベーションもかなり高。』


 周辺状況に関しては、

 『プライベートの仕事状況は、やや密。
  その他あれこれで使いそうな時間は、平常程度。
  金銭的には、当面の不安無し。』


―― となっています。

 コミケ終了後、すでに10日が経過しており。
 その10日間で得たこの進捗を、
 コミケ前10日間で得た進捗と比した場合、やはり
「甘く見ても50〜60%のペースにまで低下している」
こと、間違いないかと思います。


 なぜ、このペース低下が発生しているのかについては、
以下の原因があげられるかと思います。


1:単純な疲労と睡眠不足
  →休養により既に解決済みです。

2:コミケ前にすべきを、コミケ後回しにした諸事の精算
  →順次進捗しており、制作の負荷とはならないレベルに
   持って行けております。

3:〆切効果の喪失
  →遅延に対する影響は大。かつ未解消です。

4:クオリティアップ欲求
  →遅延に対する影響は大。かつ未解消です。

5:並行製作の必然
  →この場合の並行製作は、
  「最終章」全体進捗をスケジュールを維持するために、
  くろえ姉パッチ制作と並行し、まな・ロージィの基幹部分も
  制作する必要がある、ということです。
  これは、時間的には負担ですが、モチベーション、クオリティ向上の効果を得てもいるので、
  (甘い判定となっているかもしれませんが)遅延原因とはなっていないかと思います。

6:燃え尽き症候群
  →この場合の“燃え尽き症候群”は、コミケ後に迎えてしまう、
「それでもひとまず書き切った」という満足感と、修羅場による脳疲労により、
“あらゆるアイディアが思いつかなくなる”状態とします。
 私も、振り返ればこの状態に陥っていたかと存じますが、
小説読書と糖分摂取とにより脱出済みです。
 


  つまり、夏コミ後ペースダウンを解消するには、
<『1〜4、6』を、如何に速やかに解消するか?>
に課題に対する実効案を考慮し、また実施すれば良いことになります。

 まず、解決済みのものからは、

1: 単純な疲労と睡眠不足
6: 燃え尽き症候群

→肉体と精神の疲労を如何に効率的に取るか。
 
という課題が浮かび上がり、

私の場合には、

「まとまった時間の睡眠・休養を取る」

「目ざめたときには小説を読み
 (あるいは映画を見るなりマンガを読むなり、人とあって話すなり、その人にあった手段で)
 空っぽになった引き出しを埋めるよう努める」

「お菓子を食べ、糖分を補充する」

――という改善策が有効であったことを認めます。

 ですので、

A:コミケ後に制作を残してしまっている場合には

 A-1 : それが一気呵成に行えてしまう分量の場合
    →勢いを落とさずやりきってしまう。

 A-2: 一気呵成に行えない分量の場合
    →速やかに大休止を取り、まずは回復する。

ことが最善であり、故に肝要となるのは、

『残制作量の正確な見積もり』

となるかと判断します。

 私の場合、これが非常に甘いことは、論を待たない事実であるとも思います。

 
 次に

2:コミケ前にすべきを、コミケ後回しにした諸事の精算

についてですが――

これは、本当にケースバイケースとしか言いようがないと思います。

 コミケ前に無理やりつめて、リリース物を落としては論外ですし、
「無理やり詰める」ことにより、諸事の方のクオリティを落とすこともまた論外です。

 ですので、こちらについても、消極的改善案は、

『可及的速やかに全休を取り、後に最優先解消』

というものとならざるを得ないかと存じます。

 より積極的な改善案としては、

『コミケ前後、一定期間には諸事を可能な限りお断りする』

というのものがあるかとも理解します。

(が、それを実施できるかどうかについての評価は、
本考察とややずれてきますので、後の課題とさせていただくこととします。)

 次に

3:〆切効果の喪失
 


4:クオリティアップ欲求

について。

 この両者は私の場合、遅延原因の頭と胴体であるものと判断します。

 コミケ前には、良くも悪しくも詰め込みます。

 修羅場効果、などとも申しますが、
 私の場合は、その実は―― 

「異常集中状態を作り、量的進捗を最優先とすることにより、クオリティ基準を無意識に下げてしまっている」

――だけではないか、と推定せざるを得ません。


 何故かといえば、「コミケに“間に合わせよう”」と思って(振り返れば)書き飛ばしてしまっていたくろえ姉ルート初稿などは、

『はっきりいって、使い物にならないクオリティ』

であると明言できる、惨憺たる仕上がりとなってしまっていたためです。

 これを、最低限のリライトに止め体裁だけを整えてリリースすることがもしも出来れば、
<コミケ後ペースダウン>という現象は、今まであげた全ての理由を加味しても、
“大した影響量を持つには至らない”ものであろうと推定します。

 しかし、それを行うことは、制作にかかわってくださった全ての皆様、ならびに『錬電術師』という物語の質的な面に対してのご期待をくださっている全てのプレイヤーのみなさまへの、許されざる背信行為であると、断言します。

 故に、最善の改善案はもちろん、

『〆切効果があるうちに、ベストクオリティのものを仕上げ切る』

つまり、

『予定進捗でコミケリリースを果す』

ということとなります。

 全ての問題は、

「そうすることが、如何に重要で如何に最善で如何に負担を軽減させるか」

を、本当には(私が)理解していなかったことから発生していたと判断します。

 しかし、現状、『〆切効果は既に失われてしまって』おります。

 次善の策とし、実施しております、

『8月下旬〜9月頭パッチリリース予定』

という、“予定日〆切”は、
(当初の見積もりの甘さと、上記全ての理由とにより)

“高すぎ、越えることが出来るとは思えないハードル”化を、
現状、してしまっているように感じています。

また

“日時のあいまいさが、〆切効果をそもそも減少させている”

ことも事実であると、現状をみるに判断せざるを得ません。


 ですので、三善の策としては、

『正確に残制作量を見積る』

『努力すれば果せる、緩めば無理という適正な〆切を、“日付単位”で再設定する』

『その〆切を守る』

ということとなるかと判断します。
 

 まとめます。

 夏コミ後ペースダウンの原因は、

一「〆切に対する意識の甘さ」
二「休養の軽視」
三「完成までに必要とされる仕事量の見積りの甘さ」

に集約できます。


 二、はコンディションを逐次観察し、(出来るならば定量的な)休養基準を作り、修正していくことで改善可能かと判断します。

 具体的には
 「ディスプレイから目を切るまでの時間が、×分をきったら休む」
 とか
 「不規則睡眠となってしまった日が、×日以上続いたら有無をいわせず大休止」
 とかです。

 ですので、私なりの休養基準試案を作成し、そちらを適用、修正していくようにしたいと存じます。


 一、についての改善は「そう意識する」以外の具体案を思いつけませんでした。
 ペナルティ方式も考えたのですが――
「ペナルティ回避のための間に合わせ」
――が発生ししまう可能性を捨てきれない以上、有効であるとは判断できません。
 ので、これについては、今後の宿題とさせていただければと存じます。


 三、についての改善は、「数値化と記録」でしか果しえないかと存じます。

 ですので、具体的、かつ有効度の高く思われる改善案として、

『製作進捗報告には、“行数”を明記していく』

ことを提案し、また、実施していくこととします。

 行数は、リライト、スクリプティングにともない大きく増減してしまうので、目安としてはあいまい度が高すぎるものでもあるのですが、やらないよりは絶対にマシであると判断します。


 ですので、最終的な改善案として、

『08/26-09/02までの一週間 そちらを試行し、
 効果を判定しつつ、(それまでにパッチを出せていなければ)
 “お詫びと、〆切に関する再設定”を行う』

を提出し、実施するものとします。


 頂戴した叱咤激励へお応えするため、
また、その叱咤激励が目的としてくださっていると信じられる、
「よりマシ」な私と、私の制作物とを作っていくため、 

反省は反省としつつ、改善案をきっちり実施しきれますよう、
そして、お待ちくださっているプレイヤーさんのため、
よりよいパッチを出来るだけ早く出せるよう、

気持ちを新たに、制作・執筆、頑張ってまいります。

 
 温かな叱咤・激励を本当にありがとうございます。


 この熱さ、工房ではひとしおのことと存じますので、
どうぞ熱射病には気をつけて、塩分、水分しっかりとって、
きゃなさんも実りある良い一日をお過ごしください。

 お互い、がんばりましょーです!


 それでは、ひとまずは御礼と反省とのみの
(公開の)お手紙までとなりますが失礼します。

 

2010/08/25 進行豹 拝
posted by 進行豹 at 08:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 製作日誌