2012年05月02日

短編は急戦で長編は矢倉戦

 おはようございます。


 先日、唐突に

 「将棋の戦形の好みは、作劇の好みと似ているかも」とか思いました。




 私は、ごくたまにですが狩野さんと将棋を指します。


 私はへっぽこ将棋指しです。
 私ととんとんの戦績でしかない狩野さんも、
(手加減してくれてるとかでなければ)恐らくはへっぽこです。


 が、へっぽこにもへっぽこなりの好みというものが存在するようで。
 おおよそ全ての対局において、私は矢倉戦を目指し、狩野さんは急戦を志向します。


 と、ここで将棋をご存じない方のために(へっぽこなりの解釈をもって)
簡単にご説明申し上げますと――

【将棋とは
「相手の王を詰ます(完全に逃げ道のない状態に追い込む)」ことを目的とするゲーム】

――です。
 
 また「相手の駒を捕縛し、自分の戦力にする」ことも許されています。



 ですので、大雑把にいって、

A: とにかく攻めに攻めて、相手の玉に迫っていく

という戦い方と

B: しっかりと自陣を守り、相手の弱体化や陣形の崩れをまって、反転攻勢

という戦い方との、二種類の戦法があるものとお考えください。



 このAを、ここでは「急戦」と呼び、Bを「矢倉戦」と呼んでいる――
そのようにご解釈いただけましたら、
今回の私の雑談の大意は齟齬なく伝わるのではないかと思われます。

 
 で、話戻りまして。



 急戦嗜好の狩野さんは、「短編を得意とされる」作家さんです。
 
 
 最新単行本、





所載の短編群をご覧いただけましたら一目でおわかりいただけますように、
ともかく無駄なくテンポよく、

最短手数でラブラブHに持ち込んで → いたすことをいたして → オチ

というお話をきっちり仕上げ切られます。


 <オチで話を締めくくる>ことを作劇における<詰み>とするのであれば、
これはまさしく「急戦そのもの」であると言っても差支えないように思います。




 一方、矢倉戦嗜好の私は 「長編、というか、その前段の世界観設定を最も得意とする」物語制作者であるかと自分では思っております。

ものべの - すみ
『ものべの』
  

でも



『錬電術師』


でも

「ともかく世界観をまずお伝えしたい」

という 「矢倉を組んでから勝負にかかろう」的傾向は、ものすごくはっきりでているかと思います。

 
 
 そこまで考えをすすめ、

「私は、“省略の技術”とかそういうことうんぬん以前に、
 “急戦での戦い方”そのものを学び、その実戦経験・感覚を積むことがしたくて、



『合同短編練習企画 短編十二ヶ月』


を開始したのであったのかもしれないなぁ」とか、思い至ったりもいたしました。



 見ている方がア! っと思うほどに見事な短手詰めは
「ショートショート」になりましょう。

 伏線がイヤになるほどはりめぐらされ、けれどもそれが鮮やかに回収される長編は、
「大手数の詰将棋」のごとき読み味になりましょう。



 それらは一見、対極に存在する物語たちに見えますが、

『詰ます』 = 『お話を鮮やかに心地よく締めくくること』

に最終的に持っていく、という点では完全に一致しているように思います。



 ので、私は、今後の全ての作劇において――

  『作劇の目的は、
  見事に自陣を整えることでも、相手の駒を数多くとることでもなく、
  “きっちりと詰ませきること”のみにあることを失念しないようにする』

――ことを、意識していきたく思うようになりました。


 それはごくごく当然の心がまえではあるのですけれど、
「結構、夢中になって細部つめてるとスコンと抜けてしまう」
こともあるようにも思われますので。

 『詰み筋はどこか』

という短いキーワードに置き換え、心に刻んでいけば効果的ではないか、と考えたという次第です。


 
 で。

 そんなこんなを思いつつの先日の各種進捗は――

 

―――――――――――

 <夢路>


+ 行数的には「一時的にマイナス」となる塩梅にて、
夢路シナリオ「ロージィ固有2箱目」のリライトの方を進めております。

 できれば今日、
 遅くとも明日にはどうリライトを終え、先へ進み。
 可うことなら箱の方を締めくくりたく思っております。
 

――――――――――――――――


<短編十二ヶ月関連>

+ 「お題絵をじっくり見る」→「メモする」

をやっていたところ、

「とても大きな手掛かり」をつかんだように思ったので、
そこからどうお話をすすめるかを考え、

「書きだしの一行」を決定するにいたりました。

 その手掛かりは、私的には「とても大きな引っかかり」だったので、
 あるいは他の参加者さんとのネタかぶりあるかなぁ、とも思いますが、
 練習企画なので、気をてらうよりも、 
「書けそうなものを書き切る」方向でがんばりたいと思います。

 今日は、(上記錬電のなおしを集中してやっちゃいたいので)一日おいて。

 明日から、本格的に書き始めたく予定しております!


――――――――――――――――

<枕草子の勉強>

+「二十 清涼殿の丑寅の隅の」 (の続き。諾子さま狼狽・赤面)

http://hexaquarker.com/gakushuu_makurano.txt

(一~十)
http://hexaquarker.com/gakushuu_makurano_1_10.txt

―――――――――――――――


――というものとなりましたこと、謹んでご報告申し上げます。


 とにもかくにも本日も、焦らず急いで丁寧に手と心と頭とを動かしまして、
各種 作劇、執筆、制作と重ねていきたく存じます。


 
 今日もいちにちがんばります!

 そして、みなさまの本日がたくさんの笑顔と安心と安全とあたたかさとに満ちたものとなられますこと、願います。


 お互い、より良い今日をすごしましょーです!





posted by 進行豹 at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌