2012年08月20日

八月十八日の虹

 一昨日。八月十八日。

 狩野さんとのお打ち合わせからの帰路。

 車を走らせ、川越市内に入った私は、それはそれは見事な虹がかかっていることに気が付きました。

 急ぎ帰宅し、カメラを片手に近所の土手まで出かけると、虹は二重に成長しておりました。

20120818_rainbow.jpg

『虹二重神も恋愛したまへり』(津田清子)
とは、まさにこの光景か!

と感じ入っている私の耳に、ゴーーーーっという通過音が聞こえます。

 電車の音です。
 川越線です。
 この土手の向こうには、川越線の線路が走っているのです。

「っ!!!!!!!!」

 瞬間、私の脳裏にひらめく光景がありました。

<虹のアーチをくぐり抜ける川越線>

――これです。


 鉄道写真は撮ったことがありませんが、鉄道写真の本ならば、



『かや姉小さな旅 〜駿豆線に乗りに行こう〜』


関連資料として購入し、ザラっと読んだ記憶があります。


 今、まさに!
 その勉強の成果を示すときがやってきたのです!!


 しかし、「線路と虹とが重なる構図」は、現在の立ち位置からは取り得ません。

 多分、もっともっと土手を北上する必要があります。

「歩くことなら、大得意だ」

 そぼ振る天気雨の中、私は北へ、北へと土手をひたすら歩きます。

 一キロ……ニキロもいかないうち、気づけば天気雨があがっています。

 私の前途を照らすかのように、太陽はまぶしく照りつけます。

「よし、この辺か」

 私は、土手のハズレの線路脇。
 なんか、ちょうどよさそうなスポットを発見し、構図を取ってみます。

kiekake.jpg

・・・詳しいことはわかりませんが、わりと、なんとかなりそう――――?

 なにか、足りない気がします。
 なにか、とても重要な――

「って、虹!!!?」

 慌てて必死に目をこらします!

kiekake_kako.jpg

・・・消えてはいません。

 ただ、私の髪の毛のように、著しく薄くなっているだけです。
 著しく薄くなってはいても、決して、消えてはいないのです!

「まだ間に合う。間に合うはずだっ!」
 
 カメラを構え、私は川越線の通過を待ちます。

 東上線ユーザーである私は、川越線のダイヤを全く把握しておりませんが、
なに、十分もあれば通過するはずです。

 それまで、虹はきっと消えずに持ってくれます。

 信じて、待ちます。

 待ちます。

 待ちます。

 ・・・来やしません。

「っ!!? 休日ダイヤっ!!!!?」

 土曜――――十八日は、まさしく土曜だったのです!

 土曜の夕方・・・そう本数が少なそうな気もしないのですが、
しかし実際問題として、電車がやって来ない――っ!!!

 あきらめかけたその瞬間、ノイズが、鼓膜を揺らします。

 ゴーーーーーーーっ。

 低い、太い、長い音。

 電車が、レールを走る音です!!!

「間に合った!!!?」

 夢中で、私はシャッターを切りますっ!!!!!!

 瞬く間も無く電車は通過し、私は空を見上げます。

「虹は――まだ消えてない! 間に合った!!」

 喜び勇んで、デジカメの再生モードで撮れたかどうかを確認します。

「撮れてる!」

twr.jpg

 うっすら、空には虹のアーチ。
 そこをくぐって、銀のボディと青いラインの――――

「青?」

 なんか、変です。
 わたくしの記憶が確かであれば川越線のラインは・・・緑、だったような気がします。

「???」

 デジカメ画像を凝視して――

「TWRって書いてあるっ!!!! これ、りんかい線の車両だっ!!!!!!」

 りんかい線!
 コミケにいくときお世話になってる、国際展示場駅へいく電車です!

 東上線とも直通しているりんかい線は、
そういえば、川越線とも直通運転してるのでした!

 埼玉県民(特におたく)にとても優しいりんかい線を、今だけは、うらみたいような気持ちになります。


 無論、りんかい線が悪いわけではありません。

「虹のアーチをくぐるりんかい線」

 悪くないです、多分、いいです。


 でも、私は
「虹のアーチをくぐる川越線」
が撮りたかったのです!


 中華屋でラーメンを頼んだら、オーダーミスでチャーハンが出てきて。
 それが美味しかったときの、あの気分です。

 わるくない。おいしい。うれしい。
 でも、ぼくはらーめんがたべたかったんだ。

「……ああ、もう、虹も消えてしまった」

 帰ろう、と思い振り返る視線の先に、信号灯。

 黄色です。
 さっきまで、赤だったような気がします。

「もうすぐ来るってこと、かな? 違うかな?」

 あいまいな気持ちでカメラを構え、待ってみます。

 ほどなく、走行音。

 そして、シャッター。

kawagoesen.jpg


・・・川越線です。

 虹は完全に消えてしまった、夕暮れの中。

 川越線は、多分恐らく定刻通り――私にとっては、少し遅れて――やって来たのです。


「……帰るか」

 得体のしれない敗北感と。
 ほんのわずかな満足感と。

 それらを交互に踏みしめながら、帰る足取りはしかし決して。
 決して重くは、ありませんでした。


(おしまい)

――――――――――――――――

 というわけで、おはようございます。

 一昨日にそんなことがあったのですが、
昨日は告知があったので、ご報告するのが今日になった。

・・・上記は、ただそれだけのお話でございました。


 で、そんなこととは関係無しに、私は――

「喫緊の書き物を、結構必死でやってるものの、
 難しい点が多くて、やや苦戦中」

――という状況にございます。


 しかし、本日誌にて(大変に書きやすい形式の)短文を勢いも良く書ききって。
 結果、指のリズムが整ったように思いますので、

「今日はかなりイケる!」

のではないかと、自分としては思っております。

 ので、その感覚が薄れないうち日記を結び、
とにもかくにも焦らず急いで丁寧に手と心と頭とを動かしまして、

「書くべきであり、書きたくもあるもの」

を、ともかく必死に最優先で! 書いていきたく存じます!!


 今日もいちにちがんばります!

 そして、みなさまの本日がたくさんの笑顔と安心と安全とあたたかさとに満ちたものとなられますこと、願います。

 お互い、よりよい今日をすごしましょーです!
 





 
posted by 進行豹 at 08:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌