2012年09月01日

『物語のトーンについて』 &短編十二ヶ月8月期リライト稿 全公開いたしました!

 こんばんわ。の時刻になってしまってすみません。

 父ではない身内に、命には関わらないアクシデントがあり
(おかげさまで、たいした悪影響には派生せずに解決できそうです)
今まで、それで時間をとられてしまっておりました。

 今年はなんか、ホントいろいろありますが、
私はコツコツ、頑張り続けます所存です。


 で。
 そのコツコツの一環であるところの、



『合同短編練習企画 短編十二ヶ月』


の8月期お題
<書き出し指定 「XXXXに―――君は、なりたい?」>

(お題提供 : GoShuさん


のリライト稿の方、全公開させていただきましたこと、
遅ればせながら喜んでご報告申し上げます!


 で、私。今回リライトさせていただいている間に、
『物語のトーン』について、あれこれと考えましたので、
そちら、自分自身を整理するためにも文書にまとめてみたく思いました。



――――――――――――――――

『物語のトーンについて』


1/はじめに:

 トーン、という言葉は、ハリウッド系の作劇ノウハウ本などにおいて、
ときおり見かけられるものです。

 日本語で付加されるその説明は 「物語全体の雰囲気・空気感」などとなっていることが
多いのではないかと思われます。


 <雰囲気> <空気感>

・・・わかったような気にはなれますが、
もう一歩「それは何?」と踏み込むと、とたんあやふやになってしまうような言葉です。


 エロゲプレイヤーである我々には、しかし、そのようなあやふやな言葉に頼らずとも、
一発でより伝わってくる共通言語があります。


「物語のトーン」

それは

「ジャンル表記」


です。


 エロゲ業界における「ジャンル表記」とは、

<実妹とイチャラブしまくるADV>

とか

<連射で脱衣! 激アツ弾幕STG>

とか

<スカトロジスト御用達! 出しては流すPZL>

とか、そういう、

「そのゲームがどんなゲームかを短いワードで示す、
 キャッチコピー的ななにものか」

を示しているものであるかと存じます。


 つまるとこ、

「物語のトーン」とは
「その物語のジャンル表記」。

すなわち、

「その物語の内容を短く言い表すキャッチコピー」であると、

ここではひとまず定義します。



2/ 『物語のトーン』の役割

 もちろん、物語のトーン自体を、
 “作者自身がその物語近辺で、直接的に表記する”ことは、まずありません。
(製品の形になれば、文字通りの「キャッチコピー」によって、
 それが補強されることもありましょうが)


 ですので、読んでくださる方は、
 『物語そのもの』の内容――特に<冒頭部の内容>によって、
 「その物語がどのようなトーンであるか」を判断します。


 より具体的には・・・

---

「岐阜を22:42に発車する高山本線3749便。
 23:18には終点、美濃太田に到着してしまうこの電車にわざわざ乗り込むのには、
 ひとつの大きな理由があった」

---

――という書き出しであれば
 「紀行。それも鉄道物」 
 であることを、読んでくださる方はおそらく、予測してくださいます。

---

「おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん!」
 四年生になってのに、りほこは相変わらずやかましい。
「学校のなかでおにいちゃんはやめろっていっただろ」
「あ、ごめんねおにい――――ええっと、はやと先輩」

--

――という書き出しであれば。
 「学校物。しかも、メインヒロインは恐らく小学四年生の実妹」
 であることを、読んでくださる方はおそらく、期待してくださいます。


---

 「もっぺっぷう、でござりまするか?」
  それがしの言葉を聞いた藤子様は、いとたおやかに柳音をお寄せになられる。
 「はじめて聞く名です。それが、人を?」
 「はい、喰うと噂されております。鬼であるとも、妖であるとも」

――という書き出しであれば。
 「妖怪物? 退魔物? 時代劇はいってるのかしらん」
 となかんとか、読んでくださる方はおそらく、想像してくださいます。

 
・・・みたいな感じに。
 人は、物語を読み始めると、かなり早い時期に、無意識に、 
「その物語がどんな話か」
 を、判断しようとするのではないかと思います。


  『物語のトーン』は、ですので、

 <その「どんな話?」という問いに対し、
  その物語自体が示す、「こんな話!」という答えである>

――と言い換えることも出来るかと思います。


 「こんな話」という答えが、読んでくださる方にとって面白そうだったり
役立ちそうであったりすれば、そのお話はひき続きよんでもらえるものになり。
 そうでなければ、お話は読み続けられることなく飛ばされます。

  ですので、書きだしはとても重要で。
  その書きだしにおいて「物語のトーンを明示する」ことも、また同様に重要なのです。



3/ 『物語のトーン』の働き


  さて。
  冒頭「こんな話だな」と思った印象が、一転してくつがえされることは多々あります。


  「学園ものだと思っていたらいきなりミステリに!」
  
  とか

  「館物ホラーだと思ってたら、その実くすぐり系エロコメだった!!!」

  とか、そういうのです。


  このような 『トーンの急変』は、扱いが非常に難しいものです。



  「現実のお話だと思ったら、ラストでいきなり夢っていわれた!」

 という、いわゆる<夢オチ>的な急変は、おそらく、
ほぼすべての読み手さんを失望させます。


   しかし

  「あ! すごく面白い!!!!!」

   となるトーンの急変もあり、それは
  
  <見事などんでん返し>などと称され、読み手さんを大きく満足させることとなります。


  その両者を隔てるものは、何でしょう?


  それは
  『トーンの急変を経て迎える結末が、
   <当初、読み手さんが期待してくださっているものに添うか否か>』
  であるのではないかと、私は考えます。


  <トーンA → トーンAで期待される結末 = 素直な話 >

  <トーンA → トーンB →トーンAで期待される結末 =見事などんでん返し>

  <トーンA → トーンB →トーンBが導く結末 = 夢オチ的ガッカリ>

  <トーンA → トーンB →どちらのトーンからも予想されなかった結末 = 支離滅裂>


・・・的に、大雑把にいえば分類できるのではないでしょうか?

  


4/ 『物語のトーン』の取り扱い


   ですので。

    『物語のトーン』と上手に付き合い、それを意識的に扱うためには――


A 「物語のトーンを、読み手さんはできるだけ早く読み取ろうとすることを知り、
   その上で書きだしを工夫する」

B 「物語のトーンを終始統一することは、
   安定したお話作りにおいてとても役立つ心がけである」

C 「その物語のトーンから、 
   <どのような範囲の結末>が期待されるのかをイメージしておくことも、
   お話の完成度や読後感の良さをアップされるために、非常に重要」


D 「物語のトーンの急変が、
   読んでくださる方の期待を裏切る結末につながらないかどうかを検討することも、
   おそらく、とても重要」
  

――とか、その辺に気をつけるといいのではないか、と私としては思いました。



(以上)




 本日の日誌は、ひとまず以上までとなります。


 とにもかくにも焦らず急いで丁寧に手と心と頭とを動かしまして、
 作劇、執筆、製作と重ねていきたく存じます。

 今日もいちにちがんばります!

 そして、みなさまの本日がたくさんの笑顔と安心と安全とあたたかさとに
満ちたものとなられますこと、願います。


 お互い、よりよい今日をすごしましょーです!
 
posted by 進行豹 at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌