お昼です。こんにちわ。
と、いうわけで本日は
「ノベルの情報、追加公開」の予定だったのを明日に延期・変更し、
「忘れないうちの、弓道合宿メモ」
を、ざかざかと書かせていただきたく思います。
さて。
わたくしこと進行豹は、昨年の九月から、
狩野さん の仕事場へと車で移動する道すがらにある、
とある弓道場に通わせていただいております。
初段をいただき、とある小さな大会の、「初段以下の部」で三位をいただいたことにより、わたくし。
「弓道、楽しいかも」と思い始めるようにとなっておりました。
(それまでは
「体動かさないと運動不足で突然死ぬかもだから、なんでもいいから運動しよう」
くらいな感じも正直、ある程度以上はございました)
で。
そんなおり、道場で「合宿」なるものがあるとのお話をお伺いしました。
<合宿先は長野で、一泊二日。合宿内容は弓を「引きまくる」こと>
とのことでした。
参加費もお値ごろで、ここ最近電車にもろくろく乗って無く、
「このままだと煮詰まりが発生するかも」と感じ始めていたわたくしは、
リフレッシュも兼ね、という甘いことを考えながら、参加申し込みをいたしました。
当初の参加申込者は11人。
最年少がわたくし(おっさん)で、他の参加者のみなさんは、わたくし+10才以上。
男性4名、女性7名、うち、
称号者(簡単に言えば、人に教えることができる、「先生」レベルの熟達者)が男性2名、女性1名
――といううちわけでした。
で。
なんだかんだで開催日となります。
集合場所まで車で移動していきますと、
うちの道場、女性唯一の称号者であるK先生が、困ったような顔をして
立ってらっしゃいました。
「おはようございます。よろしくお願いいたします」
とご挨拶すると、
「進行さん(仮名)、おはようございます。あのね? 少し困ったことになって」
と、お話をしてくださいました。
その内容は
「仕事の都合や風邪やらで、合宿不参加者が続出。
今朝も、称号者の先生の一人が救急車で運ばれてしまい(腸炎とのことだったそうです)、
参加者は、『合計5名』となってしまった」
とのことです。
結果、
「ドキドキ!? 秋の弓道合宿! ボク以外、参加者さんは全員女性!!」
と、一見すばらしいことになったっぽかったのですが、
その下に、小さな文字で
「ただし女性は、全員68才以上!」
と書きそえてある――そんな事態に陥りました。
わたくし、正直なこと、
「コメディ小説みたいなことになったなぁ」
とか、その瞬間には感じました。
で。
その面子となると、当然、いきかえりの運転手は私が志願することとなります。
車は、K先生の、5人のりの、ランクルタイプのトヨタ車です。
わたくし昔、カローラ2に長く乗っていた時期があり、
「トヨタ車の運転は楽」ということを知っていたので、
その点は気楽に、しかし決して油断せぬよう、
川越インターから関越に乗り、ひたすらに佐久を目指します。
佐久につくと、有名なそば屋さんで昼食となりました。
そば打ちの様子など非常に見事で、味にも大期待したのですが、
残念ながら当日、まだ少し風邪ッ気を残してしまっていて、
鼻がつまり気味だったわたくしには、その真価は理解できず。
「おいしいけど、普通のおそば」
というあたりの感想しか抱けませんでした。(単に、貧乏舌なだけかもです)
で、13:00くらいだったかに合宿所に到着。
荷解きなどをし、14:00くらいから自由練習を開始。

一時間ほどの自由練習ののちに、
ちょっとした競射(競技としての射。当たり数を競い合う、というものです)
を何試合か繰り返し、良い汗をかいて後、お夕飯の時間となりました。
お夕飯は、とても豪華で、とてつも無く量が多いものでした。
ざっと思いだせるだけで
・ニジマスの天ぷら(凄まじく美味しい。人生で食べた川魚の中でダントツ一位)
・豚しゃぶ(美味しい。肉がとんでもなく多い)
・茶碗蒸し(美味しい)
・ナスの翡翠煮など、野菜の煮物(美味しい)
・栗ご飯(素晴らしく美味しい)
・お刺身(まぁ、山あいの旅館って感じのお刺身)
・海老天など、海鮮魚介の天ぷら(まぁ、山あいの旅館って感じの天ぷら)
・バイ貝の煮物(おいしい)
・揚げなす(おいしい)
・いろんなつけもの(つけもの、わたくしあまり得意ではないのです)
――があり。そのほかにも2〜4皿くらいあったように記憶しております。
「体育会系の合宿所の食事というのは、
量が多くておいしいのだなぁ」
と、わたくし甚だ感激いたしました。
のですが、この合宿
「食が太い男性参加者が、全員欠席」
「わたくし以外は、みな68才以上の女性」
という面子です。
ので、わたくしの食卓は
「進行さん、栄養つけなきゃ」
「もっと食べなさい、男の子なんだから」
的に、食べても食べても、どかどかとお料理が追加されていく的な、
「わんこ飯」状態に陥ることとなりました。
運転と運動とによる空腹感と、食事そのものの美味しさとに助けられ、
なんとかそれを、かなりのところまで食べましたわたくしは(完食は不可能でした)、
食後の自由練習で、また弓を引きます。
そうするうち、だんだんと周囲の明かりが消えていきます。
と、K先生が
「進行さん。この合宿の初参加者は、闇的に挑戦することになっています」
とおっしゃいます。
お話をお伺いするに、
「闇的」とは『電気を全て消した真っ暗な中で弓を引くこと』
だそうです。
真っ暗な中では、どこに矢が飛んでいったかもわからないのですが、
的中(的に矢があたる)すると、
「パンッ!」という素晴らしく晴れやかな音がするので、
闇の中でも的中か外れかは、容易にわかります。
(ちなみに、外れた矢は、的のまわりの安土、とよばれる濡れた土・砂のマウンドに
「ぼすっ」と刺さるので、かなり情けない気持ちになれます)
やがて、明かりが全て消えます。
いよいよ、闇的に挑戦です。
矢を一手(ひとて。甲矢、乙矢の二本セット)持ち、
入場口へと進みます。
一歩踏み出し、ニ歩目は上座へ、三歩目で足を揃えて正しく礼をし、
本座の前まで進んで向きを右へと変えて、立ち位置の場所まで進み、また向きを変え、
本座で的に正対し、右足を半足引いて跪座となり、揖をし、腰を切り立ち上がります。
四歩で、射位へ――
いわゆる「座射」の手順です。
座射は、(立ったままで行う)立射と比べ手順が多くややこしく。
しかしその分、慌てず心を鎮めて行えるような気がするので、
わたくしは、結構、座射が好きなのです。
射位についたら、また半足を引いて跪座。
腰を切り、開き足をして向きを変え、また跪座になり、それからゆっくり弓を立て、
左足を活かして、矢をつがえます。
矢番えをしたら腰を切って立ち、足踏みをして胴造りします。
弦調べ、箆調べ。
ここで視線は、ようやく的を捉えます。
月はぼんやりと空にかかり。
目をこらせば的が真白く、闇の中央に浮かぶようです。
不意に、昼間にご指導いただいた、
「引き分けは、腕でではなく、肩甲骨同士を引き合わせるようにして」
という言葉が思い出されます。
教えていただいた言葉のとおりに――ただそれだけを意識します。
取懸けし、手の内を整え、弓と矢とを打ち起こしていきます。
打起こしから、大三。
そしてゆっくりと引き分けです。
弓手は弓を押し、妻手は弦を引き――
しかし、腕の力は用いず、腕の下筋を意識して、
体の中心から左右均等、肩甲骨同士を引き合わせるように――と、
キリキリ、弓を引いていきます。
やがて、これ以上引けなくなります。
世界の全ては闇に溶け。
残るのはただ、弓と矢と肩甲骨だけ――そんな気持ちに陥ります。
そして。
矢は離れ、闇を切り裂き飛んでいきます。
「パァンっ!」
乾いた。晴れ渡り澄み切った音。
的中です。
「闇的で一本目から入れる人も珍しい」
K先生の驚く声が聞こえます。
わたくしも、内心驚き、喜んでいます。
しかし、射の流れは切りません。
そのまま、手順に則り――乙矢――
「パァン!」
またも的中。
甲矢、乙矢ともに中たる、いわゆる「一手皆中」です。
ちなみに、わたくし、普段の練習でも試合でも、
一手皆中をした経験はございませんでした。
産まれて初めての一手皆中が、闇的。
これは、かなり珍しいことなのかもしれません、
「どうしちゃったの」
「すごいじゃない」
さまざまな声が聞こえます。
この好調を是非ともいかしたいわたくしは、
そのまま二手、四矢を手にし、立射での闇的に挑戦します。
「パァンっ!」
(ぼすっ!)
(ぼすっ!)
「パァン!」
四射二中。
合計で、六射四中、的中率は、66.6%。
普段のわたくしは、10%程度(泣)の的中率なので、
これは驚異的な数字です。
「わたくしは、闇的適正があるのだ」
とわたくし、強く感じ。
しかるのち、
「いや、まて!? ひょっとしたら、合宿の成果が出たのかもしれん。
いわゆる“開眼”というヤツだ。
これは――明日が楽しみだ!」
とも感じるようになりました。
で、素晴らしい風呂ふたのお風呂に、独占状態でゆうゆうと入り、


しかるのち、就寝。
迎えた翌朝は、自由練習のあと、
一人一手(2本)☓5戦の、個人戦、という形での競射が行われました。
わたくしの成績は五人中、五位。
十射零中というひどい有り様の成績でした。
「闇的ならよかったのにねぇ」
という慰めの中、K先生はご指導を下さいました。
「わかったでしょ? 中てようと思うから中らなくなるの。
中てようなんで思わないで、正しく引こうだけ心がげなさいな」
・・・的にとらわれえず、己だけを見て、正しく引く。
的が満足に見えない闇の中では、きっとわたくしはそれを行え。
的が見えるようになったとたんに、まったく行えなくなったのでしょう。
「結論 : わたくしは、欲深く心弱い」
――ということを深く学び、帰りの車も運転し、
集合場所への帰還、解散をもって、わたくしの初めての弓道合宿は終了いたしました。
ガチ体育会系のイベントに参加したのは、大人になってからは初めてのことだったので、
もろもろ楽しく、また勉強になりました。
また、
「68〜75才くらいの女性の方々が、どのようなお話をされていれるか」
ということもかなりガッツリ知ることができました。
いつになるか、はわかりませんが。
その辺学び、今後の作劇にかならずや活かしていきたく思います!!
と、いうことで本日のご報告は以上までにて。
明日には、「ノベル関係の新情報」の方、リリースさせていただきたく存じます!
とにもかくにもお互いに、よりよい今日をすごしましょーです!!