2016年11月19日

「ぬいハチ物語」の書き方 〜その7:ストーリーラインを起こしてみよう〜

さて。
前回

https://twitter.com/sin_kou_hyou/status/799944699301593089

までで、エピソードを「おもしろそうな順」に並べることができました。

そうしたらなんと!
とあるぬいハチマスターの方から、「
こんな感じに並べました〜」という実例を拝見させていただけました
(ありがとうございます!)

それを拝読してわたくし、
『エピソードの並べ方』に関する、
とても大事なルールをひとつ書きわすれていたことに気が付きましたので(謝)
本日、まずはそちらを捕捉させていただきます。

その「大事なルール」とは、

『回想シーンは多用しない』
(回想シーン中にさらなる回想に入らない。
 回想シーンを短期間に連発しない)

です。

これをやると、
てきめんに「読者が本筋をおいづらくなってしまいます」し、おいづらくなってしまったお話は、読んでもらえなくなる可能性を高めてしまいます。


「回想多用」をやってしまいそうなときの解決方法は、

「時系列を見直す」が好適かと思います。


例えば

********************

1: 今、うどんを食べている。あまりにマズイ

2: 走馬灯のように過去のおいしいものたちを思い出す
 (=回想)

3:過去の美味しいものたちから、
  幼馴染のことを思い出す(回想on回想)

4:怒りが湧く。あまりのマズさに文句をいおうと
  店員の顔をみると、その幼馴染本人!


********************


とエピソードを並べてしまっていたら、


********************

1:「おいしい」 「これもおいしい!」
  と、主人公、えびす顔で次々食べている

2: 饂飩が出ててくる。
   主人公「ひいいい!?」となり、シーン転換。
  (……あまりのマズさに、走馬灯を見ていたか)
   と気づいて、うどんをすする。
   やはりゲロマズイ。

3: こんなにクソ不味いうどんは……
   と幼馴染を思い出す(回想)

4:怒りが湧く。あまりのマズさに文句をいおうと
  店員の顔をみると、その幼馴染本人!

********************

と 「3」を「1」に持っていき、

『回想ではなく、現在進行系で走馬灯を見させて
 それを「2」(旧1)につなげる』

とやると、時間がわかりやすくながれて、
その後一回だけの回想、となるのでスッキリします。



『エピソードの並べ替え(構成)』をやるときには、

「エピソードの並びかたによって混乱を招かないか」

「そのエピソードの並べ方は読みやすい
 (時間の流れを理解しやすい・おいやすい)か」

にも注意をくばると、さらによくなるかと存じます!


で。

もちろんその辺も加味しつつ、
わたくしが前回構成したエピソード群は、
こちらとなります。



********************


<1:39685、解体>(<ひとは登場>も含む)

<2:ますたぁ署名集め>

<3:たなばた様>

<4:デゴイチ整備体験&三次のハチロク>

<5:いい感じのおとしどころ>


********************

これも一見、
「回想が連続」に見えますが、
そうならないよう工夫しているということ、
これから書いていく、
『ストーリーライン』にてご説明申し上げます。


「ストーリーラインis何?」

と問われたら、わたくしはこう答えます。

「最初から最後までを通しで書いてある、
『あらすじ』です」と。


「どうやって書けばいいの?」と聞かれたら、
こう答えます。


『最初のエピソードを、
 次のエピソードに一番簡単につなげるとこまで
 肉付けする』

『それを最終エピソードまで繰り返す』

『最終エピソードは、
 【どんな終わり方をするかわかるようにまとめる】』

――の、3ステップで書けますよ」 と。


ほんでは、実際にやってみましょう。

まず、最初のエピソードと、そこからつなげる二番目のエピソードは、

********************


<1:39685、解体>(<ひとは登場>も含む)

<2:ますたぁ署名集め>

********************

です。

ひとは登場は、
「ひとはがぬいハチロクの妹とわかれば必要十分」
なので、そこはぬいハチロクに、セリフか地の文
(ぬいハチロク一人称視点なので、
 地の文=ぬいハチロクの思考)
で説明させます。


と、考えますと、
1→2のストーリーラインは、


********************

(1)

さいたま市中央区役所前。
39685にはブルーシートがかけられている。
「解体工事……はじまっちゃったですよ」
「そうね、ひとは」
ぬいハチロク、妹を案じるが、案外平気そう。
ますたぁを見れば、青い顔をしている。
「ますたぁ……」
「あ、帰るみたいですよ」
ひとは、ますたぁが開いた新幹線バッグに入る。
ぬいハチロク、その前に一瞬ふりかえり、
「さようなら、39685」と呟き。
新幹線バッグに入る。


(2)
新幹線バッグ開かれる。
おうち。
ますたぁは帰宅するやいなやでPCを立ち上げる。
「おねーちゃん。マスター、なにやってるですか?」
「これは……署名サイトですね。
39685の解体阻止をお手伝いするため、
ますたぁが、お立ち上げになった署名の――」
「マスター、お詫び文書いてるですよ!」


********************

まぁ、こんな感じになるかと思います。
時系列の工夫は
「署名たちあげ」(という過去)を、
「署名サイトクローズのお知らせを書く」(という現在)
として処理し、無駄な回想を発生させていないことです。


上記のストーリーライン見本は、説明のためにかなり細かく書きましたが、
実際は(自分がちゃんとつながりと内容を把握できるなら)
もっと全然、ラフでいいです。

というわけで、以下は普段のわたくしが起こすレベルの
ストーリーラインを

『次のエピソードに一番簡単につなげるとこまで
 肉付けする』

をまもりつつ、通しで書いてみましょう。


********************

「39685解体。ぬいハチロク、ひとは呆然」

「ますたぁ。集めていたネット署名クローズ。
お詫びの文書を出す」

「その打ちひしがれた様子に
『おねーちゃんとたばなたさまにお願いしたのに!』
とわめくひとは。
ぬいハチロクはたなばたの日のことを思い出す。

(回想)

無邪気なひとはの願い。
レールをつなげていきたいとのますたぁの願い。
それを見ながら、託したぬいハチロク自身の願い。

「39685が たすかりますように」

(回想終わり)

「おねーちゃん、だいじょうぶですか?」


と心配そうなひとはの声。
ぬいハチロク、自分の悲しさを抑え、
ひとはに話しかける」

「おもいだしてみましょう。
39685のためにわたくちたちががんばったこと。
それはきっと――
39685がわたくちたちに、伝え・遺してくれたことでもあるのですから」


「がんばったこと――
整備の勉強しに、くまがやにいったですよ!」

「そうですね、D51 140号機さんの整備のお手伝いにいきましたね」

「動輪ピカピカにするの、楽しかったですよー!」

D51 140の、48650の整備体験について話すうち、
ひとは、どんどん元気を取り戻し、にこにこ笑顔になっていく。

「おねーちゃんもマスターもまっくろになって、
みんなでわいわい整備して、とーっても楽しかったですよ!」

「ああ」

その言葉にぬいハチロク気づく

「そうですね。本当に――楽しかった」




「ぬいハチロク、マスターの丸まっている背中を叩く。

「笑ってください。ますたぁ」

「静態保存をされ続けるこ。
レールを、つないでもらえるこ。
そうしたこたちは、いつだって、
みんなの笑顔の中にあります」

「ですから、ますたぁ。笑ってください。
いま泣いているこのところに、
きっと、笑顔を届けて、ひろげてあげてください」

「ますたぁにはそれができると。
他のどなたが信じなくとも、
わたくしは、必ず、信じつづけます」

「ひとはもですよー!」

ますたぁ、うなずき、背筋を伸ばす。

PCを立ち上げ、なにかを書き始める。

「おねーちゃん、あれ、なんですか?
 ますたぁ、なに書いてるですか?」

「わたくちにもわかりません。
 けれども、きっと――
 レールをつなぐ、そのための物語です」


;おしまい

********************
 

こんな感じです!


と、いうところで本日のワークです


********************
【ワーク】

+ あなたの構成した
 「ぬいハチ物語」のエピソード群から、
 はじめから終わりまでの
 ストーリーラインを起こしてみましょう!


********************



ステップはみっつ。

『最初のエピソードを、
 次のエピソードに一番簡単につなげるとこまで
 肉付けする』

『それを最終エピソードまで繰り返す』

『最終エピソードは、
 【どんな終わり方をするかわかるようにまとめる】』


だけです!

もしもうまくつなげられないときは、
構成自体を疑って、
並べ方をみなおしたり、
エピソードの足し・引きを考えたりして
なんとか解決してみてください!

次回は――
簡単に「プロット」について説明したのち、

「とにかく本文を書き始めよう」

に入りたいかな? と思います!

ご期待ください!


posted by 進行豹 at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌