2019年03月01日

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を見てきました!!!!

こんばんわです、進行豹です!


本日わたくしは
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」
IMG_20190301_213223361 (1).jpg
http://bajrangi.jp/
というインド映画を鑑賞してきました。

大変におもしろかったです。


どのくらい面白かったかというと、いままでわたくし、プロフィールに

尊敬する作家:カレル・チャペック

と書いていたところが、本日以降は

尊敬する作家:カレル・チャペック、V.ヴィジャエーンドラ・プラサード

と書くことになってしまった――というくらいの面白さでした。



V.ヴィジャエーンドラ・プラサード――ヴィジャ先生――は、
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」の脚本家であり、
インド映画の大ヒット作である「バーフバリ」の原案をつとめてもいらっしゃる、
凄まじい作劇力の作家さんです。


――とか書くと。
あたかもわたくしがインド映画に精通しているようですが。
実のところは、ヴィジャ先生のお名前も経歴も、
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」のパンフレットを購入するまではまったく存じ上げませんでした。

どころか、先に名前をあげた「バーフバリ」すら、恥ずかしながら未見です。


……かつてのわたくしが、唯一視聴したインド映画は「ムトゥ・踊るマハラジャ」のみでした。

そのときに
「インド映画は、歌って踊って、人海戦術と濃い顔のおじさんの熱気でパワープレイをしかけてくるもの」
「その分、脚本は荒っぽい」
という先入観を勝手に抱いてしまっていたがためです。


のですが。
この「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を見て、わたくしの矮小な先入観は、木っ端微塵に吹き飛ばされました。

『脚本の』
『レベルが』
『とんでもなく高い』

のです!!!!


ネタバレになってしまうので細かくは書けないのですが――
すべての伏線は、実に鮮やかに
――細かなものは、視聴者はそれを忘れないうちに。大きなものは、それにふさわしいクライマックスで――
タイミングよく回収されます。

「思わせぶりだけど、なんだったんだろう」みたいな台詞、一切ないです!
むしろ「こんな台詞までもがここに活きるのか!!」という爽快感に満ち満ちています。


台詞回しだけではなく――
例えば、「迷子の少女」になってしまう少女、シャヒーダが仔山羊を、自分の部屋に連れていってまでかわいがっているのどかな映像。
その映像も、単なる雰囲気づくりではなく、めちゃくちゃ重要な意味をもって後ほど立ち上がってきます。


全般、そんなです。
そうした無数の、めちゃくちゃ丁寧に組み立てられている台詞が、カットが――
ごくごく自然に、物語の流れを、リズムをよどませることなく、積み重なって積み重なって一つの旅を描いていく。

それがこの「バジュランギおじさんと、小さな迷子」という映画です。


メインとなるストーリーラインは単純明快。

『インド国内で迷子になってしまった、話すことができないパキスタン人の少女を、
バジュランギという正直者のおじさんが、純粋な善意だけで、封鎖されている国境を越えて、家族のもとの送りとどける』です。


送り届けるための旅の旅路は、さまざまな起伏に満ちております。

いま、わたくしは、パキスタン-インドを走る夜行列車の、SLEEP CARに乗ってみたくて仕方ありません。
パキスタンインドの国境地帯の砂漠を歩いてみたいですし、スイスにも見ているというカシミールの山々を踏破してみたいとも思います。
デコトラのようなバスに乗り、西武新2000系のような鮮やかな黄色をしたとうもろこしが満載のトラックの荷台に寝転んでみたく願います。

そうした旅路を、「バジュランギおじさんと、小さな迷子」は、たどります。


『インド・パキスタンを舞台にしたロードムービー』

――そのように荒くまとめてしまえば、
「土地勘や、政治状況などについての予備知識がないと楽しめないかも……」と、
ご心配されるむきもあるかもしれません。


が! そこは我らがヴィジャ先生のお仕事!!!
「その辺の知識は、映画を見てれば自然に把握できてしまう」のです!!!!


――全然別のシーンですが、ヴィジャ様のお仕事の細かやさの一例をあげましょう。


「バジュランギおじさんと、小さな迷子」も、やはりインド映画ですので、
劇中たくさん――たくさん歌って踊ります。

映画を彩るう歌のひとつに「セルフィーを撮ろう」という歌詞と踊りとがはいってくるものがあります。

その歌が終わった瞬間、バジュランギおじさんの歌と踊りに見とれていた見物人が訪ねます

見物人「セルフィーっていったい何だい?」
バジュ「自分自身の記念写真を撮ることだよ」


――全般! こんな! 感じなのです!!!!!

本当に細かく丁寧で、それでいて押し付けがましくなく、たるまず、自然なのです!!!


『万人受けする物語』など、どんな天才をもってしても作劇・執筆し得ないものだ――と、
愚かにもわたくしは思い込んでおりました。

のですが、「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を見終えた今。
「万人受けする物語」を見た、と、震えるような気持ちでおります。


左隣に座っていたお年を召した、以下にも謹厳そうな男性も。
右隣に座っていた、センスのよさげな若い女性も。
スタッフロールが流れる最中、おんなじように、嗚咽をこらえられておりました。

100年前のモザンビークの人が見ても。100年後のハイチの人が見ても。
きっと伝わる物語であり、心動かす力を持つ映画なのではないかと、思います。


それほどに完成度の高い脚本であり――
その脚本を120%活かしきった、「映画」であると、わたくしは感じました。

専門外のことですので、言葉を飾ることすらできないありさまですが。
映像も、音楽も、お芝居も――すべて、物語とともにあり、強く強く支え合っているように思えました。

「映画は総合芸術」という手垢にまみれまくった言葉が真実なのだと、わたくし、痛感させていただきました。


だから。
いい映画だから、見てほしいです。

わたくし、こころからおすすめ申し上げます!!
posted by 進行豹 at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌
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