2012年01月18日

続・ハッピーエンドについて

 おはようございます!

 先日、私は



【これから作劇を勉強する人に(役にたつかもな記事)】
「何を主人公が持っていないのか」


という記事を執筆させていただきました。


 これは、

 「ハッピーエンドとは何かとかちょろっと考えたりしています」

 ということを書かせていただきました折、
 とある方から頂戴した

 「ハッピーエンドに対する解釈」

 を受け、執筆させていただいたものであること、同記事内にてご紹介させていただきました。


  で。 
  そのとある方、の正体でいらっしゃる


『Phony Tales Of Black Widowers』


の。

 あるいは、


『HexaQuarker Walker - 〜錬電術師紀行〜』


の、

GoShuさんから

「紹介はご随意に」というお言葉頂戴いたしました(ありがとうございます!)ので。

 以下、私のハッピーエンド考察を強力に推し進めてくださました、
GoShuさんから頂戴したメール内容を、喜んでご紹介させていただきたく存じます!


(以下転載/

  注:文中<とある作品>となっている部分は、原文では固有作品名。
  その作品をお好きな方にはネガティブな表記と捉えられてしまう可能性があるかと思い、
  私、進行豹の責任において<とある作品>と置き換えさせていただいております)

-------------------------------------------


ハッピーエンドについての記事を拝見しました。
実はつい最近遅ればせに<とある作品>を見て、「なんだなあ、中途半端なエンドだな。この題材なら、もっとスカッとしたハッピーエンドにすりゃいいのに」と思い、まさに「じゃハッピーエンドって何だろうか」と考えたばかりという偶然があったので、少々駄文をお送りします。

その<とある作品>で言えば、・・・ご存じないかもしれないので簡単にラストの部分だけを要約すると、主人公は、地球を脅かす敵と戦い、捕らわれの身となっている恋人を助けるために宇宙の果てまで赴きます。そして敵は倒したのですが、恋人は必ずしも十全に助けたとは言えない状態になるのです。
ここで主人公が最後に宇宙に何しに行ったかですが、「敵を倒しに行った」のならハッピーエンドだし、「恋人を助けに行った」のならハッピーエンドではない。
つまり、主人公が最も強く求めていたことが実現したのなら、それはハッピーエンドでいいと思います。
言葉を足すと、2年ほど前に日誌で書いておられた「物語のセントラルクエスチョン」が「主人公の意志/希望の成就」と直結しているのであれば、ハッピーエンドがそうでないのかは単純かつ明快と言っていいと思います。

ただ、物語の構成は、いつもそう簡単なものではない。
たとえば「主人公の意志/希望が一つとは限らない」ということがあります。敵を倒して-恋人とうまく行って-友人と仲良くして-お金をもうけて-人から称賛されて- etc.。そしてその中の一つが必ず他より抜きんでて強い希望とは限りません。人間が価値を認めるべきものは多数あり、何を重要とするかは同じ人でも時によって違うので、それは自然な状態です(物語としては、一つを抜きんでさせたほうがやりやすいでしょうが)。でも、何もかも成就させると読者もさすがにアホらしく感じてしまうでしょうから、普通は物語作者は避けることだと思います。

他には、主人公の意志/希望が、本人にも分かっていない状態もあります。本当に何も考えていない/考えていたが途中で変わる/誤ったことを最後まで信じ込んでいる etc.。

まだほかにもあるでしょうが、大きくは上記の「主人公が認識する価値が通常は多数あること」「主人公の意志の状態」が、「ハッピー」かどうかを判断しにくくする要因だと思います。

それで結局どうなのかですが、私見では、「物語終了時点で主人公が持っているもの、持っていないものを上記他の視点から総合的に評価して、『主人公は幸福である、あるいはこれから幸福になる』と"読者が納得"できること」がハッピーエンドの条件である、としか言えないものではないかと思います。
逆に言うと、「万人が認めるハッピーエンド」は、よほど単純な物語でない限り存在しません。価値観は人によって異なるからです。
よって、よくできた物語におけるよくできたハッピーエンドは、「主人公が幸福であることを比較的多数の読者に納得させえた」ものと言えると思います。
別の言い方をすると、「ハッピーエンドを作る技術」とは、「ある状態が幸福であると、読者を説得する技術」と同じではないかと思います。主人公が持っているものを価値あるものだと説得することも、それは物語のテーマに関わることでしょうから、もちろん必要です。しかし同じくらい必要なのは、主人公が物語の途中で失ったもの、あるいは最初から最後まで持っていないもの、それらに対してきちんと目配りをし、適切な敬意や愛情や惜別の情などを何かしらの方法で表現することだと思います。主人公が持っていないものに対して価値を認める読者がいるからです。そこを踏まえないと、「それを持っていないのにもかかわらず、これを持っているから主人公は幸福なのだ」ということに納得感が持てな
いと思うのです。

というかそもそも、作者が自分で称揚している価値に夢中になってしまっていると、「何を主人公が持っていないのか」すらにも気づけないかもしれないですね。
だからなかなか、ハッピーエンドというのは難しいものだと思います。

でも、単純に私は、ハッピーエンドが大好きなのですよ。
だからまあ、こういことをつらつら考えたりもするのです。

――――――――――――――――

(以上転載)


 で。
 私は、上記文章に非常に納得し、そこからもう半歩だけ考えを私なりに進め

「主人公がなにを持っていないのか」

ということと、

「周囲のキャラクターたちとの関係性」



「キャラクターたち相互の理解」

「読んでくださっている方に、上記もろもろがどれだけ伝わっているか」

が、ハッピーエンドを成立させるためには大変に大事な要素となるのではないか・・・
と思い至った――という次第だったのです。


 でもって、その私の文章を受け、
さらにGoshuさんが興味深い短文を送ってくださいましたので、
そちらもあわせ、ご紹介させていただきたく存じます。


(以下 転載)
――――――――――――――――


今日の進行豹さんの日誌での議論は、「持っていない」という言葉を、
「ある人物が別の人物の意志についての情報を持っていない」ということにも
使用しておられますね(後半部分)。
その点、私の意図とは違いますが、なるほどと思いました。

思ったのは、ある登場人物の意志を知る順番としては、
「登場人物本人→作者→他の登場人物≒読者」
なんじゃないかなということです。
作者はほとんどの場合作者より後ですよね。少なくとも、創作の経験が
少ない人にとっては。
「登場人物本人→作者」のタイムラグは、「あれ?なんかこのキャラの言動は
不自然に感じるなあ・・・」とハタと創作の手が止まる、という形で現れるものだと
思います。経験上。
進行豹さんの本日の日誌では「作者→他の登場人物≒読者」部分の
ディスコミュニケーションを論じておられたと理解しますが、
「登場人物本人→作者」部分のほうも、なかなか解決が難しいものと思います。
どちらにしても、いろいろと経験を積むしかないのでしょうね。

――――――――――――――――
(以上転載)

 で、これを拝読し。私はさらに
「なるほど!」と深く頷きましたのでした。

 
(話は、「ハッピーエンドの成立要件」と離れてしまいますが)
 その「なるほど!」は、

<<ある登場人物の意思を知る順番>>

という視点は、(作劇、ということを考える上で)
ものすごく大きな視点である可能性があるな、という意味での
「なるほど!」でした。


 この辺、さらに整理して考え進めていくと、
もう少し私の「作劇ということに対する考察」を深めることができそうに思いますので、
今手がけているあれこれが落ち着きましたら、あらためましてその辺考察し。

 で、考察の結果が有意と思われるものにまとまりましたら、そちら、
本日誌にてご報告させていただきたく存じます! 

(なお“「登場人物→作者」の方のラグを埋める”ことは、
 GoShuさんがおっしゃってらっしゃいますとおり、
 「経験を積む」こと。 
 ないしは、
 「その登場人物が、脳内で勝手にしゃべって意見するくらいにまで
  その登場人物について時間をかけて考える(あるいは惚れる)こと」
 で、解決可能であると私は理解しております。

  背景設定をつくりこむ等の、いわゆる、
 「キャラクターメイキング」にかける仕事量は、
 イコール「そのキャラクターついて考えている時間」です。

  これは、
 「その登場人物が語る、“彼、ないし彼女の言葉”の精度を上げていく」
 ために非常に重要であり。

  ここを怠ってしまうと、
 「全員が同じことしかいってない。同じ価値観しか持ってない」
 ということになってしまうかと存じます。

  私の場合は、「その登場人物はどんな思考法をもって意思決定するか」
 ということを、結構綿密に決め、上記“彼/彼女の言葉の精度をあげる”
 ための助けとしておりますこと、蛇足かもですが附記させていただきます)


 で。

 そのようなあれこれを考えつつも、進めるべきは着々地道にすすめさせていただいておりまして、
先日の“夢路” につきましては、

++++++++++

 「夢路固有シナリオ1箱めの<997行>から
<1116行>までのリライト&それに伴っての基礎スクリプトの打ち直し」

++++++++++

という進捗を得ましたこと、喜んでご報告させていただきます。

 また“可及的速やかつき案件のラスト1”も、間違いなく本日中に完了できる
とこまで進んでおりますので、全般といたしましては、
「引き続き好調」でございます。

 と、



の方でもデザインズでの新規制作実績ご紹介させていただきましたので、
もしご興味持ってくださる方がいらっしゃいましたら、
御確認いただけますととても嬉しく存じます!



 と、まぁそんな感じでともかくも、
焦らず急いで丁寧に手と心と頭とを動かしまして、
各種 作劇、執筆、制作と重ねていきたく存じます。

 今日もいちにちがんばります!

 そして、みなさまの本日がたくさんの笑顔と安心と安全とあたたかさとに満ちたものとなられますこと、願います。


 おたがい、より良い今日をすごしましょーです!
posted by 進行豹 at 10:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌
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