2012年04月06日

どこを描写し、なにを説明し、いかに省略するかを決めるもの

 おはようございます。

 『六畳一間の、家具でみっちりとした密室に、
  一人の女の子をつれて、
 “僕”こと主人公が入っていく』

というシーンがあるとします。


 このシーンで

 「どこを描写し、なにを説明し、いかに省略するか」の選択肢は、無限にあります。


 たとえば“どこに誰と入ったかだけが読み手さんに伝わればいい”場合には、 

「僕は彼女をつれて部屋に入った」

だけでもOKです。

――――――――――――――――

 追跡者の足音がすぐそこまで迫っていた。
 僕は彼女をつれて部屋に入った。

 息を殺す。
 指一本さえ動かせぬまま、ひたすらに待つ。

 ……追跡者の足音が遠ざかり、やがて、消える。

 慎重にタイミングを見極め、僕と彼女は部屋を出た。

――――――――――――――――

とか、そういう感じで。


 あるいは“女の子と一緒に”が最も重要な場合には、

――――――――――――――――

 自分の手が、やけに汗ばんでいるのがわかる。
 ハンカチ……は今くしゃくしゃだ。
 仕方なく、ズボンでさりげなく汗をぬぐって、そっと彼女の手を握る。

 ……手は、逃げない。

 どころか、きゅっと。
 軽く、本当に軽くだけれど、にぎりかえしてくれている。

 (いやがられてない)

 そう感じれば、ドアをくぐるだけの勇気が持てる。

 家具がぎっちり詰まった部屋。
 その中心に、どん、とベットが据え付けられてる。

――――――――――――――――

とかでいいかもしれません。


 ではなく“どんな女の子と一緒”かが重要な場合には、

――――――――――――――――

 部屋に入ろう、とはいいだせなくて、代わりのように手をにぎる。
 すぐに、にぎりかえしてくれる力のささやかさ。

 思わず、彼女をふりかえり見る。

 きゃしゃな、砂糖菓子のように繊細なその体躯。
 綺麗に切りそろえられた前髪は、けれどその表情を隠さない。
 一重まぶたに包まれた、真っ黒に澄んだ瞳が、僕をじいっと見上げてる。

 こくりと、頷き。
 ただそれだけで、前へと進む勇気をもらえる。

 ドアを開け、部屋に入れば彼女はホウっと息を吐く。
 小さく、身震い。
 気温は、廊下とかわらないのに。

 緊張してるのは僕だけじゃない。
 少し、気分が軽くなる。

――――――――――――――――

――とかもありかもしれません。


 全然ちがくて、“密室であること”が大事な場合には

――――――――――――――――

(かちり)

 彼女が後ろ手に鍵をかける。

「この状態でした。鍵がかかってて――なのに、サカザキさんはいなくなったんです」


 窓は東と南に二つ。
 が、東のものはクローゼット、南のものは書棚に、それぞえ完全に塞がれている。

 平らな天井は低く、昼光色シーリングライトがやけに大きく感じられる。
 
 ……屋根裏への入り口は無し。
 床にももちろん、床下への通路などは見つからないし、家具を動かした痕跡もない。

「この部屋の収納は――――このクローゼットだけですか?」

「収納と言うほどではありませんが、ベッドの下にも引き出しが。
 あとは、机や棚の引き出しと――」

「なるほど、立派な机ですね」

 百年は経っているのではなかろうか。

 一枚木で作られているのであろう天板は、古びを帯びて輝いている。


――――――――――――――――

――とかな感じになるでしょうか?



 つまり。

 特定の一状況下において、
「どこを描写し、なにを説明し、いかに省略するのか」
を決定するのは、

『その物語において、何が重要な要素であるか』

という点です。


 たとえばそれが、

「商業作品であり、“より多くの方に理解し、興味をもっていただくことを
 要求される物語」 であるのであれば、

<想定される読者さんに、より興味をもっていただける事項>こそが<重要事項>となりましょうし、


「完全に趣味の作品や実験作であり、
“自分が今まで書いたことがないことを書いてみるための物語”であれば」

<今まで書いたことが無い要素>こそが<重要事項>となるでしょう。


 のでので、「××が重要」ということを一概に定義はできません。


 しかしながら、

1:『今、自分が書いているものはどんな性質の物語なのか』

2:『その想定読者は“誰”あるいは“どんな層”なのか』

3:『想定読者に、もっとも興味をもって読んで頂ける要素は“何”なのか』

を意識することは、「その物語にとっての最重要な要素」を決定する大きな助けになるかとは思います。

 そのようにして導きだされた「再重要な要素」は「その物語全てを測る物差し」になります。

 その物差しの基準をもちい、あるいは描写し、あるいは説明し、あるいは削れば、
『不足』や 『余剰』を生じさせる可能性を、ある程度以上減少させられるかと存じます。


 錬電のリライトで頭がぐちゃっとしてしまって、

「ちょっとこれは書く必要がある描写なのだろうか」

と悩んでしまったとき、上記、ふと思いつきましたので、
自分の頭を整理するため、
プラス、どなたかのお役にたてば――と思い、書きしるさせていただきました。



 でもって。
 先日のもろもろの進捗は、


<夢路>

――――――――――――――――

+ 夢路シナリオ「ロージィ固有2箱目」の

“108→209行”

を執筆しました。

――――――――――――――――



< 短編十二ヶ月関連>

――――――――――――――――

+ 書き進めました。悪くない感じであるかと思っております。
 

――――――――――――――――

<枕草子の勉強>

――――――――――――――――

+「六 大進生昌が家に」 (の続き / 生昌くん、迷走)

http://hexaquarker.com/gakushuu_makurano.txt


・・・と、生昌くんの身分「大進」に関しての注記が間違ってたので、修正いたしました。

――――――――――――――――


――となります。


 全般、まぁまぁの進捗であるかと存じます!


 ともあれ、焦らず急いで丁寧に手と心と頭とを動かしまして、
各種 作劇、執筆、制作と重ねていきたく存じます。


 今日もいちにちがんばります!

 そして、みなさまの本日がたくさんの笑顔と安心と安全とあたたかさとに満ちたものとなられますこと、願います。


 お互い、より良い今日をすごしましょーです!
posted by 進行豹 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 製作日誌
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